6/29に名古屋の東海高校・東海中学で開催された公開講座のような催し「サタデープログラム」というものに出かけてきました。筆者が推している「碧志摩メグ」ちゃんを産み出した有限会社MARIBON代表の浜口善博さんによる『ご当地キャラクターで町を「興す」クール・ジャパンの「萌えおこし」』と題された講座の受講が目的です。
TBSのTV番組「ガチンコ!」の企画を通じてプロのオートレーサーとして活躍していた浜口さんが、なぜ萌えキャラによる観光振興という分野へ足を踏み入れたのかというところから、碧志摩メグちゃんの騒動や現在に至るまでの経緯、それらから得られた知見を通じていわゆる「萌えおこし」を含めた新しい観光振興の在り方を提案する…というような内容でした。羅列となりますが、お話やスライドから精一杯書き留めてきた内容を備忘のため残しておこうと思います。
・「鈴鹿8耐」を知らない子供にショックを受け、アニメや萌えキャラの持つ影響力を取り込んでレースをアピールしたいと思ったのが最初のきっかけ
・アニメにもなったマンガ「ばくおん!!」の作者と知り合いだったため、コラボ等でレース活動に取り入れて効果を実感した
・2013年のル・マン24時間耐久レース(予選落ち)後、パリの観光名所で「ばくおん!!」のキャラポスターをアピールしてみたところ、フランス人が興味深々で好意的だったことから手ごたえを感じる
・2014年に当時の志摩市長から「一緒に志摩市を盛り上げてほしい」と依頼があり、志摩市役所職員とともにキャラ制作を開始。当初のコンセプトは「伊勢海老むすめ」
・「伊勢海老も大事だが、海女業を活性化させたい」という方針により、海女のキャラクターへ変更。三重の海女といえば鳥羽と志摩だが「取り合っている」ような状況(鳥羽のほうが戦略が上手で優勢らしい)
・志摩市公認キャラとして名前を募集した際は、アメリカやスペインからも応募があった
・「何を公認しているのか」という声もあるにはあったが、志摩では海女さんも含めて当初から「かわいい」と評判でみんな喜んでいた
・伊勢志摩サミットに先立った開催地関連の取材はあらかた済んでしまい「ネタがない」という状況で、「賛否両論ある」という切り口で取り上げられたのが例の騒動のきっかけ。1か月に100件ほど取材を受けた
・「海女さんが責められる」という不本意な状況から「志摩市公認」を外すことになったが、非公認になったことで、逆に三重県の他地域が使いやすくなった
・アニメ化に際して声優役への申込は100件以上あったが「メグちゃんに声を付けるなら、ぜひ(三重県出身の)小松未可子さんに」と当初から決めていた。収録にあたっての手配は「ガチンコ!」で関わったTBSのスタッフさんに多くを依頼した
・現在実施中のラッピングバス。当初は三重県内で展開予定だったが許可が下りず、料金的にもさほど変わらなかったので東京の立川市で運行することとなった。立川市にはコトブキヤの本社がある。秋葉原では目立たない
・ラッピングバスはひとつの文化と言えるほど、あちこちで展開されている。そんな中でも「ひとりのキャラクター」だけで成立しているのは珍しい部類に入り、その観点から「碧志摩メグ」ちゃんのキャラクターとしての箔が付いたとも言える
今講座は筆者のような「キャラの一ファン」というより、地域振興へ実際に携わる人向けの内容でした。浜口さんは「これが正解ということではなく、常に探っている」とおっしゃっていましたが、
<観光促進へ大事なこと:新しい人に知ってもらうには>
・観光地など山ほどある中での差別化
・ネットやSNSなどに強い若者の情報発信力
・日本全国はもちろん世界中へ配信できる
→とにかく知ってもらうきっかけを作らないと衰退していく
<「萌えおこし」とは何か>
・何かを知ってもらうきっかけを作るということ
・メディアにアピールしやすくなる(注:萌えすぎてはいけない)
<ご当地萌えキャラの魅力について>
・地域(地元)のことを改めて知ることができる
・今までになかった地域への貢献や還元できる可能性が増える
という定義を頂きました。受講者は筆者も含め10名程度でしたが「この手のイラストを描くことを職としている」「大学で地域振興に関する研究を行っている」という方が参加されており、そういう方々にとっては非常に示唆に富む内容だっただろうと感じました。もう少し記録しておくと、
<仕事ややりがいについて>
・新たな道を切り開くことでいろんな分野の人々と出会えて、応援や影響力が拡大していく実感が面白い
<今後何をしていきたいか>
・碧志摩メグの海外への影響力を発揮させる
・碧志摩メグを使ってレーシングチームを世界1位に実現させる
・アニメの続編作成は現実的に難しいので、今後はゆるキャラ(着ぐるみ)に声を付けたり、露出を増やす方向を検討中
という話でした。最新クラウドファンディングも大成功に終わっていましたし、今後も熱心に応援する気持ちを新たにしたのでした。
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